電子化から、その先へー令和8年のか池事務所と経営のデジタル化

この記事を最初に書いたのは令和5年12月でした。
当時は、電子サイン、チャット、クラウド会計などを紹介しながら、
「これから電子化がもっと進んでいくだろう」
という内容を書いていました。
それから約3年。
改めて振り返ってみると、「電子化に向けて」という段階は、かなり過ぎたように感じます。
電子化というよりも、電子化は普通ではないのかという感じです。
請求書を紙で保存しない。
銀行明細を手入力しない。
レジの売上を会計ソフトへ連携する。
スマートフォンで会社の業績を見る。
Zoomなどを使ってオンラインで打ち合わせをする。
こうしたことは、もう特別なものではなくなりました。
令和8年の今、大切なのは、
「電子化すること」ではなく、「電子化したデータをどう経営に生かすか」
ではないでしょうか。
クラウド会計は「入力するため」だけのものではありません
以前は、会計ソフトというと、「領収書や請求書を見ながら仕訳を入力するもの」というイメージが強かったと思います。
ところが現在は違います。
銀行、クレジットカード、POSレジなど、さまざまなデータを会計システムと連携できるようになっています。
入力する作業をできるだけ減らし、そこで生まれた時間を、
「会社の数字を見る時間」に変えていく。私はここが重要だと思っています。
POSレジと会計をつなぐ
飲食店や小売店では、POSレジとの連携も便利です。
例えばAirレジは、TKCのFXシリーズと連携できます。
レジの売上情報を会計システムへ連携することで、売上仕訳を一から入力する作業を減らせます。
毎日発生する作業だからこそ、
「1回の作業時間を少し減らす」
というだけでも、1年単位で考えると大きな違いになります。
特に店舗数や取引件数が多い会社ほど、データ連携の効果は大きくなります。
今は、クラウド化にしたのでノートパソコンでどこでも見ることができます。
「数字を見るために会社へ戻ってパソコンを開く」という必要も少なくなりました。
TKCの「クラウドシステムを導入すれば、出張中の出先からでも会社の業績を確認できます。
特に外出や出張の多い経営者にとって、ノートパソコンですぐに数字を確認できることは便利です。
ただ、私が重要だと感じるのは
数字を早く知れば、次の行動も早く決められる。ここに意味があります。
「月次決算速報サービス」で10年間の変化を見る。
令和5年の記事を書いた後に始まったサービスの一つが、TKCの「月次決算速報サービス」です。
令和6年11月からサービスが開始されました。(私の担当先はすべてこの月次決算速報サービスを利用しています。)
月次監査が終わると、お客様に最新の業績情報が届きます。
内容は表やグラフになっているため、数字だけの試算表よりも直感的に分かりやすくなっています。
例えば、
- 変動損益計算書
- 純売上高の内訳
- 変動損益計算書から分かること
- 売上高・限界利益・経常利益の推移
- 自己資本比率の推移
- 月次巡回監査完了通知書
などを確認できます。
実際にお客様から、
「見やすい」
「10年間頑張ってきた結果がグラフで分かる」
「これを見ると励みになる」
という言葉をいただきました。
反対に目標に届いていなければ、
「もう少し売上を伸ばさないといけないな」
という話になることもあります。
これこそ、私がクラウド化でやりたかったことの一つです。
単に紙をなくすためではありません。
会社の数字を早く確認し、経営者と一緒に次の行動を考えるためのクラウド化です。
予算を入れると「過去」だけでなく「これから」が見える
さらに活用したいのが、継続MASなどを利用した予算管理です。
会計データだけを見ると、
「先月はいくら売れた」
「利益はいくらだった」
という過去の確認になりがちです。
そこに予算を入れると、
「予定していた数字に対して、現在どこまで来ているのか」
を確認できるようになります。
例えば、年間売上目標を立てていた会社が、半年経過したところで計画を下回っていたとします。
そこで初めて、
「残り半年でいくら売上が必要なのか」
「単価を上げるのか」
「新規のお客様を増やすのか」
といった具体的な話ができます。
会計を「税金を計算するためのもの」だけで終わらせない。
経営判断に使える数字にしていくことが、これからますます重要になると思います。
ローカルベンチマークで数字以外も見る
会社を見るときは、決算書の数字だけでは分からないこともあります。
そこで活用できるのが「ローカルベンチマーク(ロカベン)」です。
ローカルベンチマークは、企業の経営状態を把握するための、いわば「企業の健康診断」のためのツールです。
財務情報だけではなく、
「商流・業務フロー」や「4つの視点」といった非財務情報も確認します。
数字だけを見るのではなく、
「この会社は誰に何を売っているのか」
「どこに強みがあるのか」
「今後どこに問題が起こりそうなのか」
まで経営者と一緒に考える。
こうした使い方ができれば、会計データの価値はさらに高まります。
(会計事務所側から見ると、担当替えのときに社長に何度も同じことを聞く必要がないことです。)
電子サインやチャットも「特別なもの」ではなくなってきました
令和5年の記事では、TKCチャットや電子サインについても紹介しました。
当時と比べると、オンラインで契約や本人確認を行うことへの抵抗感もかなり小さくなったと思います。
税務の世界でも大きな転換点がありました。
令和3年4月1日以降、一部の手続きを除いて税務関係書類への押印は原則不要となりました。
以前は法人税申告書にも代表者の押印欄がありました。
今では、それが当たり前だったことを忘れてしまうほどです。
紙に印刷する。
印鑑を押す。
郵送する。
相手が受け取る。
ファイルに綴じて保存する。
こうした流れの一部が、電子データのやり取りに置き換わりました。
それでも印鑑がなくなったわけではありません
もちろん、すべての場面から印鑑がなくなったわけではありません。
例えば、遺産分割協議、不動産取引、住宅ローン、会社関係の一定の手続などでは、現在でも実印や印鑑証明書が必要になる場面があります。
税務手続でも、一部の担保提供関係書類や物納手続関係書類、相続税・贈与税の一定の添付書類など、押印等が必要なものが残っています。
「電子化=印鑑がすべて不要になった」
というわけではないので注意が必要です。
会計以外の業界も大きく変わっています
私は不動産関係のお客様と接することが多いこともあり、知識のブラッシュアップのため宅建試験に再挑戦しました。
不動産業界でもオンラインでの重要事項説明など、デジタルを前提とした取引が増えています。
AIも同じです。
数年前には「ChatGPTで文章を作る」というだけでも珍しさがありました。
令和8年になると、文章作成だけではありません。
資料作成、情報整理、データ分析、画像作成など、仕事のいろいろな場面でAIを使えるようになっています。
私自身も、実際に仕事の中でAIを使う機会が増えました。
令和8年、次に考えたいのは「何を電子化するか」ではありません
令和5年の記事を書いた頃は、「これから電子化していかなければならない」という意識がありました。
令和8年になった今は少し違います。
クラウド会計を導入する。(今後関与するお客様に関しては必須となります。)
銀行やレジを連携する。
証憑を電子保存する。
AIを使う。
これらは「目的」ではありません。
大切なのは、
それによって空いた時間を何に使うのか。
そして、
集まったデータを経営にどう使うのか。
だと思っています。
入力作業に使っていた1時間を、経営者と数字について話す1時間に変える。
「先月はいくら儲かったか」だけではなく、
「では、来月何をするのか」
まで一緒に考える。
税理士法人マークスでも、単にシステムを導入するだけではなく、クラウド会計、月次決算、予算管理などを活用しながら、お客様が自社の数字を経営に使える環境づくりを進めていきたいと思います。
過去の書いた記事からの抜粋
電子サイン(ESS) (メールでの同意になります。 TKCの機能としては令和3年12月からスタート)

現在、対面での保険契約、クレジットでの署名は、タブレット上にサインをすることが多くなってきました。
今回紹介する電子サイン(ESS)は、顧問契約書、秘密保持契約書、決算における電子申告同意書です。
メールで送られた書類を最後まで読んで、同意するボタンを押すメールのやり取りになります。
書類は、クラウドに永久保存されますので、所内でも書類を探す手間が無くなります。
民法第522条(契約の成立と方式)
1.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2.契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
(税理士法人マークスでは、まだ導入はしていません。)
ローカルベンチマーク・クラウド版 (平成29年6月からスタート)
ローカルベンチマーク(略称 ロカベン)とは、企業の経営状況の把握「企業の健康診断」を行うツールです。

(経済産業省のHPより抜粋)
「六つの指標」財務面と「商流・業務フロー」、「4つの視点」の非財務面から成り立っています。
財務面(下の図の左側の資料)は、TKCの過去データから数値が入力されていますが、非財務面は経営者と協力しながら作成していきます。

なお、データはクラウド上で保管されるため、どこからでも見ることが出来ます。
クラウド化したら、月次決算速報サービス (令和6年11月からサービス開始)
チェックリスト
令和6年の目標のひとつに、継続MASの予算案の落し込みです。
お客さんの評判はものすごくいいです。見やすい、10年間のがんばりの推移がグラフで分かる。励みになるという言葉を頂いています。
仮に、目標値に届いていない場合、もう少し売り上げを伸ばしていかなければならないなぁという言葉も聞きます。
月次監査が終わり、お客様のメールアドレスにデータが飛んでいきます。
届く内容は (表やグラフのため分かりやすいです。)10年の記録を見れるのは大きいですね。
1変動損益計算書
2純売上高がの内訳
3この変動損益計算書から分かること
4売上高・限界利益・経常利益の推移
5自己資本比率の推移
6月次巡回監査完了通知書
押印制度の見直し 過去を振り返った時に、この制度がクラウド化の普及になった要因の一つだと思っています
きっかけは、コロナですね。河野行政改革大臣が「行政手続きの99%以上で押印廃止」と言ったのは衝撃的でした。
税務では、令和2年12月21日「令和3年度税制改正の大綱」で盛り込まれました。
税務署類の押印義務の見直し。令和3年4月1日以降押印を必要としません。
法人税の別表1でも、平成29年4月決算の申告書には、代表者自署押印の欄があり、署名が必要でした。
そこから令和3年3月決算の申告書までは「代表者記名押印」でした。そして、令和3年4月決算からは「代表者」のみです。
なお、税理士欄には「署名」と書かれています。令和3年4月決算の申告書までは署名押印と書かれていました。
本人であることや同意の意思表示をする方法に、電子サイン、GビスID、マイナンバーカード、免許証の提示が挙げられます。
スマートフォンでの本人確認は、マイナンバーカードやGビスIDで行われます。